都市計画法改正のポイント 

1.都市計画法改正の経緯 

    衆議院通過日  平成12年4月19日(水)
    参議院通過日  平成12年5月12日(金)
    法案成立日    平成12年5月12日(金)
      施 行 日      公布日から1年以内に施行                

2.都市計画法主な改正の概要 

(1)「準都市計画区域制度」の創設(第五条の二)
 都市計画区域外であっても、既存集落周辺や幹線道路沿道など渋滞や用途混在を招きやすいところに市町村が「準都市計画区域」を指定し、用途地域等を定められる仕組みを創設。区域内では開発許可等を適用する。(都市計画中央審議会答申では、3,000u以上の開発行為を対象と想定している。) 

(2)「整備、開発又は保全の方針」の拡充(第六条の二)
  線引き都市計画区域のみに定められていた都市計画マスタープラン(整備、開発又は保全の方針)を拡充し、都道府県が全ての都市計画区域で策定することで、線引きされていない都市計画区域もマスタープランの対象とする。都道府県にはこれを広域的観点から定めることや市町村の意向を反 映させることが望まれている。

(3)都道府県の判断による線引き制度の適用(第七条)
全国一律に市街化圧力が高いという状況ではなくなっていることから「市街化区域」「市街化調整区域」に区分(線引き)するか否かは、現行制度のように予め法律により定めるのではなく、三大都市圏等を除き、地域の実情に応じ都道府県が判断することとなる。 

(4)「特定用途制限地域」制度の創設(第八条)
  土地利用規制が弱いとされてきた未線引き白地を対象に市町村が指定し、地域の実情に応じ、良好な環境の形成又は保持の観点から望ましくない特定用途の建築物を制限する。

 (5)特例容積率適用区域における容積率の特例(第八条第三項)
商業地域のうち、土地の高度利用を図る必要がある場合には、区域を指定し、未利用容積を他の敷地で有効活用できる。 

(6)地区計画制度の改善(第十二条の五)
これまで地区計画の策定できる区域は限定されていたが、用途地域の全域で策定できるようにする。また、市町村が行っていた計画案の作成について、条例で定めることにより地権者等からの地区計画の案の申し出を可能にする。

 (7)都市計画区域及び準都市計画区域外における開発許可制度の適用(第二十九条)
 都市計画区域及び準都市計画区域外で行われる大規模開発には周辺のアクセス道路など公共施設が未整備なため交通渋滞などの問題が生じうる。したがって、一定規模以上の開発行為について、都市計画区域等の外であっても新たに開発許可制度を適用する。対象規模は、都市計画中央審議会答申においては、1ha以上を念頭に検討されている。

 (8)開発許可の技術基準への地域性の反映(第三十三条)
地域の実情により条例で開発許可基準の強化又は緩和を可能とする。いわゆるミニ開発防止の観点から条例による最低敷地規模基準の追加を可能にする。

  

別添2

都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案に対する附帯決議 

 政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺憾なきを期すべきである。 

一 地方公共団体における都市計画決定・変更等が円滑かつ適正に推進されるよう、必要となる参考資料等の情報の提供、人材の育成等支援体制の整備その他特段の配慮を図るよう努めること。 

二 市街化区域と市街化調整区域との区分の都道府県による選択制への移行に伴い、区域区分を廃止することとなる都市計画区域については、従前市街化調整区域に指定されていた区域の無秩序な市街化を防ぐとともに、中心市街地の衰退を招くことのないよう必要な措置が講じられるよう努めること。 

三 都道府県の都市計画区域の整備、開発及び保全の方針の策定に当たっては、市町村との合意形成を十分に図り、当該市町村の都市計画に関する基本的な方針と整合性が保たれるよう努めること。 

四 都市計画区域外における秩序ある土地利用を図るため、準都市計画区域制度の積極的な活用と開発許可制度の的確な運用が図られるよう努めること。 

五 特例容積率適用区域制度の適用に当たっては、指定した特例容積率の限度を広く周知する等、本制度について関係者の理解を深める観点から必要な措置が図られるよう努めること。 

六 都道府県の定める都市計画の案に対する市町村の申し出制度及び地区計画等の案に対する住民の申し出制度については、それぞれの意向を十分尊重するとともに、円滑な都市計画決定がなされるよう努めること。 

七 都道府県全域を対象とした都市計画に関する基本的な方針のあり方について、引き続き検討すること。

 

都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 参議院国土・環境委員会       

 政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。 

一、現行都市計画法施行から三十年余を経て、都市をめぐる状況が大きく転換していることにかんがみ、都市計画制度の構築及び都市計画行政の遂行に当たっては、環境問題、少子高齢化への対応等都市の抱える諸課題に的確な対応を図るという理念のもとに取り組むこと。

 また、地方分権の観点から、地方公共団体における都市計画決定等の事務が円滑かつ適正に推進されるよう、情報の提供、専門家の育成など、その執行体制を支援するための特段の配慮を図るよう努めること。 

二、市街化区域と市街化調整区域との区分の都道府県による選択制への移行、開発許可制度に係る技術基準の条例による弾力化等を行うに当たっては、郊外部の無秩序な市街化、中心市街地の衰退を招くことのないよう、土地利用状況を十分把握する等必要な措置を講じるよう努めること。

 三、都道府県の都市計画区域の整備、開発及び保全の方針の策定に当たっては、市町村との合意形成を十分に図り、当該市町村の都市計画に関する基本的な方針と整合性が保たれるよう努めること。

 四、都道府県の定める都市計画の案に対する市町村の申し出制度及び地区計画等の案に対する住民の申し出制度については、それぞれの意向を十分尊重するとともに、円滑な都市計画決定がなされるよう努めること。

 五、都市計画区域外における秩序ある土地利用を図るため、準都市計画区域制度の積極的な活用と開発許可制度の適正な運用が図られるよう努めること。

 六、特例容積率適用区域制度の適用に当たっては、指定した特例容積率の限度を広く周知する等、本制度について関係者の理解を深める観点から必要な措置が図られるよう努めるとともに、歴史的建築物の保全、緑地の確保等市街地環境の維持向上に配慮すること。

 七、@都市と農村等の土地利用の管理に係るより一元的な仕組み、A都道府県全域を対象とした都市計画に関する基本的な方針、B緑地等自然的環境や景観の保持、C既成市街地の再整備のための諸制度の再編整理及び利便性の向上等、土地利用に関する総合的枠組みのあり方について、引き続き検討すること。 

右決議する。